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8月の新刊感想【本好きの下剋上】小説第5部9巻(30巻)

本好きの下剋上30巻表紙
本好きの下剋上30巻表紙

待ちに待った「本好きの下剋上」最新巻が、10日に発売になりました。

とは言え、前巻までは発売日数日前からソワソワして、なんとか発売日以前に入手できないかと宅急便センターに問い合わせたりしたくらいでしたが、今回は他にも気になることがたくさんあったので、落ち着いて発売日を迎えられました。

だいたい、発売日当日は仕事だったうえ、その後はハマスタにナイターを観に行ったので、現物の受け取りは翌日に先送りしてしまったくらいです。

それでも、日付変更と同時に電子版が入手できたので、今回の書き下ろし部分だけは、発売当日中に読み終えることができました。

その後、ゆっくりと本編を読み進め、翌日には書籍とドラマCDのセットが届いたので特典SSを読み、全部読み終わるのに数日かけました。

どうやら、深い沼からは浮上できたようです。また別の沼にハマりそうで戦々恐々ですが。

前置きが長くなりましたが、最新巻、内容には非常に満足したので、感想を書きたいと思います。

以下感想です。ネタバレあります。そして長いです(汗)。

プロローグ

書き下ろしのグラオザム視点。ゲルラッハ戦でのグラオザムの動きが初めて明かされました。

グラオザムが冷酷なのはローゼマイン襲撃事件の頃からわかっていましたが、改めて行動を追ってみると…、コワイですね。目的のためなら何人殺してもなんとも思わないところが。

それにしても、ボニファティウスのことは最大限に警戒しているのに、「平民」と侮るローゼマインのことはまったく眼中になし。ゲオルギーネもそうですが、ここが完全な計算違いですね。

ローゼマインがやった「無意識にゲオルギーネの邪魔をする」行動はすべてフェルディナンドの企み扱い。だから、アーレンスバッハに遠ざけて殺した(と思っている)のでしょうが。

ゲルラッハに来る援軍といえばボニファティウスと思いこんでいるし、ゲオルギーネの目標が神殿とバレていることも気づいていないし、できれば、このプロローグのラストシーンで「青いマント」を目にしたグラオザムの心境も知りたかったかな。ダンケルフェルガーから援軍が来るという斜め上の事態に、どれだけ驚いたのか。

本編

本編については、いつも通りWeb版から大きく逸脱していません。少しだけ加筆に気づきましたが、今回はエーレンフェスト攻防戦の後半、というか終盤から後始末が主で、前巻と比べると、話の動きは少々地味な印象です。

前巻でフェルディナンドを救出して、ゲオルギーネも退けて、さあこれからアーレンスバッハのアウブとしてフェルディナンドと一緒に新しい領地で楽しく暮らせるようになるのかと思いきや、いろいろな障害が立ちはだかり…、というか、一番の障害はローゼマインの「恋愛オンチ」だったという…。

そうでなくてもローゼマインの精神状態がとても不安定になっていて、側近たちともすれ違いが起こっているので、ヤキモキしてしまいます。

「仮縫い」の後でフェルディナンドへの報告、そして神殿や西門に行っている間の根回しと、改めて読み返すとフェルディナンドの「囲い込み」があからさまで、ローゼマインの心情とのギャップがすごいですね。

エーレンフェスト上層部や側近たちへの根回しが済んだ後は、ローゼマイン自身の心情はともかく、周囲の思惑が一方向に収束したので、読んでいてイライラする部分は減ったように思います。

例の「聖典づくり」でのコピペ部分。フェルディナンド様、お疲れさまです。シュタープ製の聖典にシュタープでコピペって、あの世界では考えられないくらいの「破廉恥」案件なんですよね。ローゼマインは気づいていませんが。

そして次はいよいよ貴族院へ。実はここからがまだまだ長いんですよね…。

エピローグ

書き下ろしのジェルヴァージオ視点。ジェルヴァージオとラオブルートの関係が初めて明らかになりました。

というか、アダルジーザ関連の、今まで明かされなかった設定等がてんこ盛りで、情報量がすごかったです。

ジェルヴァージオはフェルディナンドの叔父だったのですね。顔がそっくりというので、親子じゃないか、兄弟じゃないかといろいろ憶測が飛んでいましたが、フェルディナンドの母セラディーナの同母弟ということで。

そして、その2人の同母妹ヴァラマリーヌがラオブルートの婚約者だったのに、フェルディナンドが生き延びたばかりに姉の代わりにアダルジーザの花にされた上、政変で処刑とか。ラオブルートも気の毒には思いますが、フェルディナンドに対してはただの逆恨みですね。

それにしても、中央騎士団長の忠誠が向けられた相手が外国の王族って、ユルゲンシュミット終わってますわ。メス書持ちの規格外二人がいなかったら、崩壊は免れたかもしれないけど、ランツェナーヴェから戻ってきた魔力持ちの天下になってしまったことは確実ですね。

ここでも、無意識にこの人達の邪魔をしているローゼマイン。さすが主人公です。

閑話・エーレンフェスト防衛戦(後半)

シャルロッテ・後方を担う者

シャルロッテが次期領主に任じられたことがはっきりしましたね。

メルヒオールとそれほど年が離れていないのだから早いのでは?、と思いましたが、考えてみたらメルヒオールはまだシュタープを持っていません。

礎を防衛するような事態になった場合、領主が礎の間に籠もるため、どうしても「次期」を決めておく必要があるようです。まぁ、礎を奪われたらその時点で終了ですから。

ブリュンヒルデとの連携は相変わらず良いようで、シャルロッテ、頼もしいです。

それでも、まだ未成人の女子ですし、ダンケルフェルガーと違って普段から戦闘訓練なんてしていませんから、この状況にうろたえたり不安になったりするのは当然ですね。それでも最後はしっかり前を向くあたり、やはりシャルロッテはしっかり者です。

その一方、蚊帳の外に置かれているのがヴィルフリート。大事な情報が入らないように密かに遠ざけられています。本人は気づいていないようですが…。

レクル・西門の戦い

前巻同様、門の兵士・レクル視点です。ギュンターの(元?)部下ですね。

いやぁ、第2部での、ギュンターの伝言を無視してビンデバルト伯爵の馬車を通してしまった事件、当時の士長が頭越しに指示を受けてきたギュンターに嫉妬してわざと伝えなかった、というのが初出情報でした。

その士長は万死に値しますな。実際降格されたんだろうけど。

西門の攻防が詳細に描かれていました。汚物攻撃とか、ギュンターがお守りの数分ムチャをしてヴォルヘニールと戦ったとか、ダームエルが兵士見習いたちから憧れの目で見られていたとか…。

その辺はローゼマイン視点の本編でも触れられていましたが、平民の兵士視点で詳細に語られるのは新鮮でした。

ユーディット・残された者

神殿での護衛任務についていたユーディット視点。

いつも一人だけ置いてけぼり、といじけているユーディットです。実は神殿は最重要地点なのですが、そのことは知らされていませんから。

ただ、下町の見回りに行って不審な荷馬車を発見してにわかに慌ただしくなります。

ランツェナーヴェの即死毒に対応したり、護衛シュミルたちの活躍を目の当たりにしたり。ユーディット、例の毒を吸っていたのですね。大事にならなくて良かったです。

そんな中、マティアスたち粛清された一族の生き残りに対する一般の貴族たちの厳しい視線が垣間見えて、彼らを領地に残せない、と言っていたローゼマインの気遣いを改めて感じたりしました。そのローゼマインと同じようにマティアスたちを気づかえるユーディットも素敵でした。

フロレンツィア・白の塔で

ここでバルトルトらエーレンフェスト残留組でゲオルギーネ派閥だった学生たちの処遇が明らかに。レーベレヒト、さすがハルトムートの父親ですね。冷酷で効率主義。バルトルトとヴィルフリートはどうなるんでしょうねぇ。

あと、ジルヴェスター夫妻の末娘の名前もようやく明らかに。ヘンリエッテちゃんでした。

白の塔に偽ゲオルギーネを確認に行くフロレンツィア。白の塔にてフロレンツィアに好き勝手なことを言うヴェローニカ。挿絵で初登場。でも、表情が崩れているので造形はよくわからず…。それにしてもヴェローニカ様、ゲオルギーネが助けに来てくれると思っているとか、どこまで自己中心的でおめでたいんでしょうね。フロレンツィアが逆襲してくれてスッとしました。フロレンツィアも、挿絵はかなり黒い笑顔でしたね。

ジルヴェスター・礎を巡る戦い

ちょうど、前巻エピローグのゲオルギーネ視点の対になるような話でした。

この二人は永遠にわかり合えない姉弟なのですね。本当は殺さずに済ませたかったジルヴェスターですが、名捧げした貴族に不本意な命令を下されて、これ以上エーレンフェストを荒らされるわけにいかず、自ら手を下しました。その話は本編でも読んでいましたが、やはりジルヴェスター自身も深く傷ついていたのですね。そういうところが、人間らしくて好きです。

戦いと後始末が終わったあとはフロレンツィアが慰め励ましていました。なんのかんの言ってもいい夫婦ですね。

書籍特典SS ルッツ視点「相変わらずの騒動の原因」

相変わらずローゼマインをはじめとする貴族たちに振り回されるプランタン商会の面々の話。

中央に移動するはずだったローゼマインが隣領の領主になると聞かされて慌てふためくベンノ。真相を確かめるべくギルベルタ商会にルッツを使いにやりますが、ギルベルタ商会の方はローゼマインの衣装作りに忙しくてそれどころではありません。衣装作りでは主力とは言えないトゥーリがルッツへの説明係を仰せつかります。

ここで話題になったのが例の仮縫い時のローゼマインの政略結婚話。意外だったのは、トゥーリがローゼマインの心の内をすべてお見通しだったこと。少しは誤解したりしたのかと思っていたのに、ハンネローレに見栄を張って創作恋バナをしたことや、周りはみんなローゼマインはフェルディナンドに恋してると思っているのに、本人にはその自覚が全くないことも全部正確に看破してました。さすがお姉ちゃん。

移動についても振り回されるグーテンベルクたちは大変ですが、まぁ頑張れという感じでした。

まとめ

いやぁ、今回も書き下ろしが盛りだくさんで満足しました。何より、香月先生の日本語は読みやすいしおかしな間違いがないので安心して読めます。書籍なんだから当たり前といえば当たり前なのですが、そうでないモノの存在を知ってしまったので…。

次巻はまたお歳暮の時期ですね。次巻も貴族院の戦いに関して書き下ろし閑話集がありそうなので、楽しみです。本編の残りは2~3冊といったところでしょうか。来年中には完結するかな?

その前にはコミックスやふぁんぶっくが発売になりますね。ふぁんぶっくのQ&A、今回の対象は知りたいことがたくさんある箇所なので、そちらも楽しみにしています。

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