待ちに待った、「本好きの下剋上」29巻が発売されました!
さっそく、Amazonでは電子書籍、紙書籍ともにベストセラー1位! さすがですね。
えーと、沼にハマった話を再度リンクしておきます。先月まで感想なんて全然書いていなかったのですが、ちょっと後悔しているので今後は書けたらいいなと思います。
短編集もコミカライズももちろん楽しみだったのですが、今回は楽しみすぎて落ち着かないので、小説の最初から読み返しながら待ち焦がれておりました。読み返し始めたおかげで、逆に最後間に合わなくて、直前2巻はすっとばして、夫が予約購入しておいてくれた電子書籍を朝6時前から読み始めてしまいましたが(汗)。
現物(ドラマCD7とのセット)はヤマトさんに午前中配達をお願いしていたのですが、届いたのは12時直前…。まぁその時点で読み終わっていませんでしたから、良かったんですけどね。
って、5時間以上かけて読み終わらないくらい、加筆モリモリで読み応えたっぷり。これだけ期待のハードルを上げて読んだのに、まったく裏切られず、むしろ、ますます「続きが読みたい病」が加速してしまった29巻でした。一応、基本的には既読の内容なのにね。加筆部分がまさに神! ここから先、どういう展開になるか、わかっているのが救いです。わからなかったら4ヶ月もとても待てません…。こういう感覚って初めてで新鮮ですね。
口絵
口絵は「供給の間」でのローゼマインとフェルディナンド。事前に、「4部9巻の口絵と対」という情報があったのですが、確かに、同じような構図で、前回はお別れのシーン、今回は再会のシーン。どっちも切ない。そして、ローゼマインのサイズが全然違うので、跪いているのが逆なのですね。なんか、この絵だけでもしばらく見ていたい気になりました。
プロローグ
ユストクス視点のプロローグ。レティーツィアから名捧げ石の入った籠を渡されるユストクス。世界が足元から崩れていくような感覚、だったのでしょうね。それでも、主の命令を最優先に、自ら名捧げを解除する、ってツライなぁ。ジルヴェスターと会って話をするまでの真っ暗な心情が書かれていました。
それにしても、思考回路が物騒な側近二人。ハルトムートがローゼマインの出自を確かめに行ったときもそうだったけど、この人達、敵に回したくないですね。エックハルトは知ってたけど、ユストクスもこんなに黒い部分があったんだ、と新発見。
ジルヴェスターと会って希望が出てきてからはいつものユストクス。とりあえず、貴族院への転移陣、いつでも使えるように許可をもぎ取っておいて本当に良かった、と思える場面でした。
本編
基本的な流れはweb版と同じなのですが、とにかく加筆が多いです。
web版は毎日連載されていたそうですが(それを考えるとすごいけど)、そのせいか説明不足でわかりづらい部分も少しありました。(ただ疾走感はすごくて、特にこの辺りは読み出すと止まらないんですけど)。そういう細かい描写不足がかなり補われているように感じました。
特に、グルトリスハイトの取得方法がどんどん簡略化されていく過程が、節目の王の名とともに丁寧に説明されていました。初出の王の名前がたくさん。この辺りは特にわかりづらかったので、ありがたかったです。
本編はランツェナーヴェを一掃してゲルラッハに入るまで。何と言っても、フェルディナンドの救出場面がクライマックスです。webでも何度も読み返した場面です。口絵、挿絵と合わせて、堪能させていただきました。初読のときは泣いたなぁ…。
そして、ここから読むのがツラいゲルラッハの戦いに入るんですね。次巻、楽しみですが、重いです。
エピローグ
ゲオルギーネ視点。とにかく、何を考えているのかサッパリわからなかったゲオルギーネ様の心情が初めて描かれました。
いやー、エーレンフェストの先代領主夫妻、毒親ですね…。特にヴェローニカ。ヴィルフリートの育て方もひどいと思ったけど、孫だから甘やかしたのかと思いきや、実子3人に対してもひどいわ。ゲオルギーネが歪むのもある意味仕方なし?
ゲオルギーネにとっては、ジルヴェスターは末っ子で跡継ぎの男子、というだけで、努力も全然しないのに、両親には可愛がられて甘やかされ、我儘でどうしようもないクソガキだったのですね。一番信頼していた側仕えのリヒャルダも取られちゃったし。フェルディナンドという弟ができてからは兄として多少変わったのだけど、そこは見てないですからね。
ゲオルギーネには同情しないでもないですが、彼女も相当思考が物騒です。簡単に「死ねばいいのに」って言うし、実際弟を毒殺しかけるし。彼女自身、自分の望みが最優先で、そのためなら自分の親も実子も切り捨てる。フェルディナンドとは間逆なんですよね。フェルディナンドも冷酷で物騒なこともするけど、それは自分のためじゃなくて、領地のため、父や兄のためで、自分自身のことはある意味どうでもいいと思ってるフシがあるので。
用意周到なゲオ様、エントヴィッケルンでできた水路を利用するとか、防衛の裏をかくところとかは凄いけど、フェルディナンド周りに関してはディートリンデに任せたのがやっぱり失敗の元でしたね。ディートリンデ、止めも刺してないし、貴族院の転移陣使用許可を出してること、ゲオ様に伝えてないし。
ここからエーレンフェストの街の戦いも後半に入るというわけですね。
エーレンフェスト防衛戦(前編)
読み応えたっぷりの書き下ろし80ページでした。
ローゼマインはアーレンスバッハに行ってしまったので、まったく目に入らないエーレンフェストでの戦い。いやまだ全然本格的には戦っていませんが…。
「うちは関係ない」と思っていたギーべ・キルンベルガは、200年動いていなかった国境門が開いてびっくり。存在を知らなかった城とギーべの館をつなぐ転移陣の存在にもびっくり。この転移陣をめぐるアタフタはイルクナーでも出てきてちょっとおもしろかったです。
ブリギッテがお母さんになっていてびっくり。というか、やっぱりお子さんいたんだなぁ、って。この世界では洗礼前の子供は数に入らないので、生まれても親族以外には知らせない、と何度も出てくるので、知らないうちに生まれている、ってことですね。
下町は避難の話ですが、こちらの戦いはまだこれから。後編に期待、っていうところでしょうか。当事者の視点で避難の様子が語られるのは、それはそれで臨場感があって良かったです。後に本編の「それぞれの武勇伝」に出てきていますが、本当にちょろっとなので。
書き下ろし短編(望みのままに)
フェルディナンド視点です。毒に倒れた直後から救出まで。
これ、本当はもっと内容盛り沢山だったらしいのですが、情報出しすぎ、ということでだいぶ削られたという話。うーん、Web読了組としては、その元々の原稿が読みたい。と思ってしまいました。
即死毒で死ななかったのは、毒に耐性があったからというより、ローゼマインのお守りが発動したからだったんですね。すごい。そして名捧げ石の魔力でさらに守られた、と。
でも、いろいろ諦めてしまったフェルディナンドの心情は切ないです。結局自分は役立たずだ、とか、どんだけヴェローニカの呪いは強力だったのか。
それにしても、エアヴェルミーンから「殺し合え」とか「其方が死ねば」みたいに言われたことをそのまま素直に受け取っているところが衝撃。ローゼマインと二人揃って生き残ったら殺し合わなければいけないと思いこんでいるなんて…。後にあんなことをする人と同一人物とは思えません。結局、魔王降臨はすべてローゼマインのせいということなんですね(笑)。
イルムヒルデ様、本編初登場でしょうか。(お茶会セットのSSに出てきた話は聞いていますが、読んでいないので。)先代の異母妹、第二夫人予定だったんですね。「あの方」ってあの方ですよね。もう巡り合ってますが、って?
ローゼマインがやってきた時、やっぱり回復薬を本気で毒だと思っていて笑えます。自分で作ったのに。そして、魔王覚醒、かな? ローゼマインがアーレンスバッハの礎を奪ったことを聞く前で終わっているので、囲い込みにかかる心情とか、書かれていたけどカットされたのかも。
この辺りのフェルディナンドの心情の変化は、Web読了済みの読者としては一番知りたい部分ですが、書籍初読の人のことを考えると、あまり大っぴらに書けない、ということで難しいですね。ここで明らかにしちゃうと先々の衝撃がないものね。書籍完結後でもいいから知りたいなぁ。
書籍特典SS
TOブックスオンライン及び応援書店で購入した紙の書籍にのみついている特典SS。
今回はハイスヒッツェ視点で、ダンケルフェルガーがエーレンフェストのアーレンスバッハ侵攻に協力するかどうかの会議の話です。
アウブ・ダンケルフェルガーの名前が初出。というか、先日Twitter上で決まったばっかりですけど(汗)。
「本物のディッター」に出撃したくて仕方ないアウブと騎士たち、それを止める第一夫人ジークリンデの戦い。ですね。
なにげに、レスティラウトが次期領主に決定したり、重要情報が紛れていました。ハンネローレはやっぱり最初はちょっと及び腰だったんですね。出撃してからはそんな感じはありませんでしたが。
特典SSのほしい方はぜひ公式オンラインショップで。
まとめ
とにかく盛り沢山でした。もう一度読まねば。
その前に、ドラマCD7を聴かないといけません。Twitter情報によると、内容がヤバいらしいので、先に聴くと感想書いてる場合じゃなさそう、ということで急いでここまで殴り書きしました(笑)。
次巻の8月までが待ち遠しいですが、その間にはコミカライズの単行本も出ますし、今週からはアニメ3期も始まります。しばらくは沼で揺蕩っていたいと思います。
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