さて、長期休止になってしまった元凶、ではなく原因になったと書いた「本好きの下剋上」について少しばかり。
「本好きの下剋上」とは
内容は、本好き、というか活字中毒とも言える現代日本の女子大生が本に埋もれて死んでしまい、中世ヨーロッパ風異世界の片隅の貧民街に住む5歳の虚弱な幼児マインに生まれ変わり、本を求めてあれこれ頑張って成り上がる話です。「小説家になろう」サイトで連載されていた、いわゆる「なろう系異世界転生モノ」ですが、数多ある異世界モノの中でも、その作り込まれた世界観や話の進め方は他とは一線を画していると思います。
沼に落ちた経緯
私の場合、アニメから入り、コミック→書籍→続きが待ちきれずWebで完読→Webループ→書籍ループ→二次創作、と抜け出せない沼にはまっております。書籍にして、30巻を超える大長編にも関わらず、何度でも読み返せてしまう、こんなハマり方は初めてです。
最初にアニメを見た時はこんなことになるとは思わなかったんですけどね。
原作小説は、夫がKindleで買っていたのですが当時は読めず(自分で買う気にならなかった)、そこでweb版に直接行っていたら違ったのでしょうが、その時点ですでに書籍が20冊くらいは出ていたこともあったし、そこまで食指は動きませんでした。
ブログが止まる少し前、夫のKindle購入本が読めるようになったので、まずはコミックから読みました。コミックはアニメよりは詳しかったんですが(アニメは後で考えたらものすごく端折ってます)、何より、アニメより手前までしか出ていませんでした…。
同時並行連載の第3部は少し進んでいましたが、第2部を読み終わらずに3部を読み始めるなんてどうなの?、ということもあって、これは、3部のコミックを読むためにも2部までは原作小説を読もう、という気になり、読み始めたのが沼への入口でした…。
あとはもうズブズブと浸かるだけ。小説を書籍が出ているところまで読んだらもう、我慢できず続きをWebで、しかも4部途中から(ってまだ全体の半分くらいからなんですが)は止められない止まらない。それこそ、最初の読了までは2週間くらい、文字通り寝食を忘れて、どうしてもサボれない家事や仕事以外は全部放り出して読みふけっていました。(最近もTwitterを見ていると時々そういう人がいて、みんなそうなのねー、と共感します。)
そして、最後まで一度通した後は、webで最初から読み直し(最初の方、書籍と結構違います)、また書籍で最初から、と何周かして(その間外伝や短編集も読んで)、さらに続編に当たる「ハンネローレの貴族院5年生」も一通り読んでようやく気が済んだところで、なんだかまだ物足りなくてpixivの二次創作に走り…、ととにかく沼から抜け出せない状態が続きました。
「一人称視点」が魅力
小説を読むまでは全然気づかなかったのですが、「本好きの下剋上」は主人公視点の一人称で話が進みます。本当に、主人公の話し言葉で進んでいきます。主人公の目に映らないものは基本的に描かれません。主人公の知識が増えたり世界が広がるたびに、一つずつベールが剥がれていく感じで、最初は読者も主人公同様目隠しされた状態です。
これは、アニメやコミックではできない手法なんですね。そして、アニメやコミックではそこまでハマれなかった一番の理由が、この特長を消してしまったことなんだと思いました。アニメにしてもコミックにしても、どうしても「神視点」になってしまいますからね。
WebでもSS置き場とか「閑話」として時々他者視点の物語は入っていますが、書籍ではこれがさらに少し追加されて、そこで初めて、他者からの主人公に対する評価や、主人公の目に入らない事象、また、その世界に生きる人達との常識の違いに気付かされます。
そして、緻密な世界観とともに、膨大な数の登場人物の誰もがブレないキャラクターを持っていて、あの長い長い物語をダレずに紡いでいます。
最近の供給側の動き
書籍の方は今クライマックスに差し掛かっていて、たぶん最新巻の切れ目の鬼畜さから、我慢できずにWebに走った方も多いことかと思われます。残りはおそらく3~4冊ですが、書籍は基本Webと同じとはいえ、加筆が多いですし、必ず書き下ろし短編(他者視点)が入るので、毎回楽しみです。特に、次巻は100ページの加筆が明言されていますし。
ここ何巻かは、夫がKindleを買っているのに、「特典SS」目当てで紙書籍まで買ってしまう(それも出版社直販で)という状態です。もちろん、外伝も短編集も、ふぁんぶっくも、ドラマCDまで。何か出るたびに書き下ろしや特典で新情報がもたらされるので、油断なりません。
一昨年末からはコミカライズの第4部連載が始まって、第2部第3部と合わせて、絵でさまざまな新情報が出るのも楽しみですし、作者Twitterも情報の宝庫なのでチェックは欠かせません。(それにしても、第4部はコンスタントに連載されているのに、1年以上経ってもまだ書籍1冊分終わらないって…。第4部9冊あるんですけど! 他は推して知るべし。第5部はどうするのかな?)
小説初読のときには、情報が極端に少ないせいで、1部2部あたりは特に、他者視点の短編を読んでも意味のわからないことが多かったのですが、全部一度読んで、世界観を理解してから読み直すと、あぁこれってこういう意味だったのか、と腑に落ちたりするのが本当にすごいと思います。
Audibleもあるよ
そして、最近ハマっているのがAudible。アニメのマイン役井口裕香さんが小説を朗読してくれます。Audibleについては稿を改めますが、洗い物やお掃除、洗濯などの手が離せないけど頭はあまり使わなくていい、という作業のお供に最適です。現在14巻まで配信中。順次出てくるそうです。
一時の「寝食を忘れる」ほどの熱は冷めたものの、沼から抜け出すにはまだしばらくかかりそうです。
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