さて、3月の新刊2冊めは、コミックス第3部の第5巻です。
上記は電子書籍です。紙の本はこちら。
コミカライズは、ニコニコ漫画で2部~4部が並行連載されており、順次単行本化されています。
2022/4/1より、TOブックスのコミカライズ公式サイト「コロナEX」がオープンし、今後はそちらで最速公開になるそうです。ニコニコがどうなるかはわかりませんが、なくなるようなら上記も書き換えます。
基本的には、連載中にすべて読んでいるので、正直本編に新鮮さはあまりありません。
ただ、絵というのは情報量がすごく多いのと、小説と違って外から見た物語になるので、小説で読んだときと印象が違うことも多いですね。
で、新鮮さを感じないと言いつつ、こうして新刊が出れば飛びついてしまうのは、やっぱり、書き下ろしの番外編、および書き下ろしのSSが載っているからなんですよね。
もちろん、ニコニコさんでは時間が経つと有料化してしまって後からは読めないので、まとめて読むためにも単行本はほしいところです。
以下、ネタバレあり。
本編感想
今回はまるまる「ハッセ編」ですね。
領主の娘として厳しい決断をしないといけないローゼマインが延々悩むところは、小説で読んでいてもなかなか苦しかったのですが、絵で見る憔悴っぷりはまた更に可哀想です。それにしても、この世界の常識、現代日本と違いすぎ、ってことを改めて感じたパートでもありました。世界観の作り込みがすごいのは、これから先も随時感じるのですが、ここは小説初読のときになかなか衝撃を受けました。
ハッセの話はこの長い小説の中でも結構な鬱展開部分なので、描く方もしんどかったのか、ここまで来るのに時間かかったなぁ、という印象が強いです。
3部のコミックスはとにかく刊行ペースが遅くて、連載もたびたび止まるので、まだ5巻?、まだここ?という感じ。何せ、現在連載中の3作品の中では一番先に始まったのに、内容的にはほとんど進んでないですから。実際、3巻が出てから5巻が出るまでに2年近くかかっているんですもん。小説で言えば5冊中2冊めの真ん中ぐらい…。そろそろ、2年以上遅く始まった4部に、コミックス刊行数で抜かれますよ…。
あぁ、本編の感想のはずなのに思いっきり外れてしまいました(笑)。
間が空きすぎているのが問題なのか、絵が安定しないのが残念です。ローゼマインの顔が、初期とも、椎名さんの公式キャラデザともかなり違いますし、ベンノもちょっと見慣れない感じ。
ただ、フェルディナンドの顔は、表情を含めて、この3部が一番いい感じだと思います。「彫刻のような美形」って設定、絵を描く人にはハードル高いですよね。そんな中、今回はフェルディナンドの、いい感じの「悪い顔」が多くて、魔王の片鱗が見られたのは眼福でした。
正直、3部が面白くなるのはこれから。次回辺りからヴィルフリートとの入れ替わりとか、鬱展開から抜け出して雰囲気も明るくなると思うので、楽しみにしています。
番外編感想
今回の番外編は「フーゴと料理人の道」。
城の料理人たちに指導に行っていたフーゴを引き取ってきた時の話ですね。本編ではサラっと流された部分です。
でも、2ページだけ。
おまけではありますが、もう少し描いて欲しかったかな。っていうか、この程度なら本編に入れられるんじゃ? そういう意味でもちょっと物足りなかったです。
まぁ、本編も数日前に更新されたばかりの分までが収録されているくらいなので、余裕がないのでしょうね。
前巻は、コミックス発売数日後にコミックス収録分が公開されるという逆転現象が起きたので、それを避けて前に公開したのだと思いますが、できることならもう少し余裕を持って、もう少しペースを上げてくれると嬉しいですよね。
とは言え、本を出せばせっかくそれなりに売れているのですから、途中でコケずに続けてくれることが最優先かな。頑張って欲しいです。
書き下ろしSS感想
さて、お待ちかねの書き下ろしSSは、マルテ視点の「小神殿の夜」。
ハッセの孤児院から移動してきた4人のうち、一番小さい女の子、マルテから見た小神殿の様子です。
ハッセに派遣された灰色神官や灰色巫女の名前がいくつか初出ですね。イドナの元主、「いつも怒鳴っていた青色神官」って、みんな大好きシキコーザかな?
町の孤児院と神殿の孤児院の違いがすごいですね。町の孤児院出身の子たちは、エーレンフェストの下町の住民と気が合いそうです。口が悪くて乱暴で、衛生概念が足りない…。でもきっとそれなりに居心地が良かったんでしょう。神殿に馴染むのは大変そう(実際大変だったようですが)。ただ、この話は最年少のマルテ視点なので、「ここに来て良かった」という感想になっています。マルテが一番早く馴染んだというのもよくわかります。
今回のお話は本編に大きく関わることは無いですが、こういう小さなお話の一つ一つが、全体の密度を高めていると感じています。
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