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「宝石商リチャード氏の謎鑑定 夏の庭と黄金の愛」(第8巻)感想

「宝石商リチャード氏」シリーズの8巻目です。

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あらすじ

夏の南仏プロヴァンスで、正義とリチャードの宝探しが始まる……!

きっかけは、リチャードに母のカトリーヌからメールが届いたことだった。
カトリーヌが正義に会いたがっているという。
どこで正義のことを知ったのかなど、分からないこともあり不審がりつつ、
正義はカトリーヌが夏のヴァカンスで滞在しているという、南仏プロヴァンスの屋敷を訪ねることに。
到着したばかりのリチャードと正義を前に、カトリーヌはゲームをしろと言い出した。
敷地中のどこかある32個の石を探し出せというのだが、
そこには一族の過去にもかかわる秘密が隠されていて……?

Amazon作品ページより

感想(少々ネタバレあり)

豪華客船クルーズの次は南仏プロヴァンスでバカンス、という話です。毎回設定がゴージャスですね。

パリに着いて博物館でジェフリーと会ったり、学生時代の友人・下村とエッフェル塔の下で旧交を温めたりするシーンからスタートします。

リチャードの母カトリーヌ(実物)が初登場。いや、話だけなら第一部でも何度か出てきていました。リチャードそっくりの美女で貴族の末裔、女優、気位の高い女王様、という感じで描かれていましたね。

実際はどんな人なのかと思いましたが、確かにクセ強ではありますが、子供っぽくて可愛い女性のようでした。

あらすじにあるように宝探しがメインストーリーなのですが、カトリーヌの母とリチャードの実家の過去のつながりが明らかになってきました。そして第一部同様とんでもないお宝が…。

と、表面上はそういう話ではあるものの、話の中で正義の成長がいろいろ描かれています。いつの間にかフランス語会話がある程度できるようになっていたり(英語はかなり流暢な様子。第一部の前半が嘘のよう)、料理の腕が一段と上がっていたり。それに加えてアジア人という外見から、とんでもない人種差別にあったり…。

エクス・アン・プロヴァンスの街の様子や、ミラボー伯の話なども興味深かったです。プロヴァンスといえば、オペラ椿姫のアルフレッドの故郷だし、ミラボー伯は「ベルばら」に出てきたので、この小説の中で「貴族なのに平民代表で議会に出た」とか、「すごくぶさいくだった」とか書いてあると、そう言えば、とその絵を思い出しました。

さて、カトリーヌが「パローレパローレ」と繰り返す曲を正義に何度も聞かせていたわけですが。意図を持ってそうしていたことが意外でした。カトリーヌはもっと無邪気に正義を受け入れていると思っていたので。歌詞の意味を知ると、ちょっと考えてしまいます。

その「パローレパローレ」の曲ですが、これもまた、我々世代はすぐに思い浮かびます。意味はともかく耳に残りますから。昔、なにかのCMで使われていました。

アラン・ドロンもすでに昔の人で、若い人は知らないかな。本を読んでいてふとこのフレーズが思い出されて、すごく懐かしくなりました。

今回の宝探しもオクタヴィアの差し金だったわけですが、やっぱり本当の目的はよくわかりません。ヴィンセントの立ち位置も。

縦軸のオクタヴィアの思惑はよくわからないものの、キャラクターたちの動き、特に今回はカトリーヌとリチャードの複雑な母子関係から目が離せませんでした。嫌いというわけではないけれど、素直に甘えたり愛情表現したりできない関係。だからこそ、最後にまさかの「いつかママンと呼んで欲しい」に、二人(正義とリチャード)同様私もびっくり。その後のハグにグッと来ました。

そして、スリランカに戻った正義を待っていたのは、突然の暴動と戒厳令。平和だと思っていたのに…。そしてヴィンセントからの呼び出しと、強めの引きでこの巻終了。これは、間髪入れずに次に行かなくてはいけませんね。

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