6巻まではAudibleで聴いたこのシリーズ、7巻目からは電子書籍で読みます。
まずは7巻目。
あらすじ
スリランカで宝石商として修業中の中田正義。山間の都市キャンディに滞在し一ヶ月が経った頃、不思議なメールが届いた。アドレスには「ジェフリー」という名前。件名は「リチャードを助けて」。開くと、リチャードの名前で予約された豪華客船クルーズの旅程表があり、出発は三日後。悩む間もなく、航空券と豪華客船のチケットが届き!? 2ndシーズン開幕!
感想
全体を振り返って
大学卒業後の正義はなんとスリランカで宝石商修行中。ひょんなことからクルーズ船に乗り込むことになって…というお話。
実は個人的に、この暮れに初めて、外国籍の大型クルーズ船に乗る予定なので(ショートクルーズですが)、そういう意味でも興味津々に読みました。
第一部とは違って章立てて宝石の話をするわけではなく、1冊ほぼ、船内での話です。
新たなキャラクターとして、ヴィンセント梁が登場。まだ立ち位置がよくわかりませんが、かなりキャラのたった人なので今後どう絡んでくるのか期待。
クルーズ船内の描写はいろいろ興味深かったです。大型のレストランだったり、プールやカジノ、バーだったり、メインストリートは高級店がいっぱいだったりと、昔乗ったにっぽん丸とは全然違う世界が広がっていそうで、今度乗るのがますます楽しみになりました。
お話の本筋はジュエリーショーと、それに絡んでとある事件に二人が巻き込まれるわけですが。二人の関係性は相変わらずのブロマンスという感じ。ただ、以前は雇用主とアルバイトだったのが、職場の先輩後輩、それもかなり親密な、という風には変わっています。二人が一緒にいる時の安心感は格別ですね。
最後にもう一人新たなキャラクター(ラスボス的?)が登場して、この人の思惑も全然わからないので、これから先どうなるのか、とても気になります。
スリランカの話
正義の住まいが日本からスリランカに移っていますが、なぜそうなったのかも描かれています。思いの外、アニメでサラっと流された前巻最後の事件が尾を引いていたようです。
この巻は大半がクルーズ船内での話ですが、スリランカ、キャンディーでの生活もそれなりに描かれていて、島国であるスリランカは思ったより良いところなのでは?、と思ってしまいます。
私の世代だと、スリランカというかセイロン島はとにかく紅茶のイメージが強いし、昔はタレントのアントン・ウィッキーさんも活躍していたので、全然知らない、ということはないと思います。なので、この小説の中で正義たちの世代が「どこにあるどんな国か全然わからない」というのにびっくりしました。
それでも、短絡的に「セイロン島→インドのそば→インドのように治安が悪そう」みたいな偏見を少し持っていたため、スリランカてののんびりした生活を読んでいて、ちょっと行ってみたくなってしまいました。
差別の話
というか、このシリーズは、そういった「偏見、差別」が大きなテーマの一つになっている気がします。性的マイノリティに対するものはもちろん、人種差別もあちこちでサラッと描写されます。
リチャードの銀座の宝石店「エトランジェ」には、「人種、宗教、性的嗜好、国籍、その他あらゆるものに基づく偏見を持たず、差別的発言をしない」という約款があります。これ、最初に出てくるのでサラッと流してしまいましたが、6巻までを複数回聴いて、7巻まで進んでくると、ここに深い意味がありそうです。もちろん、リチャード自身、この「差別」に苦しめられた結果、この約款を作っているわけですが。
この本を読んでいると、私自身、そっち方面は知らず知らずに持っている偏見が多いのだと自覚させられます。リチャードに言わせれば立派な「差別主義者」なのだと。まぁ、もう年寄りなのでなかなか払拭できない部分はあるのですが、少なくとも表には出さずに生活していきたいものです。
電子書籍派の方へ
一つだけ書いておきます。
「プロローグ」の前に少しですが本文があります。目次から飛ぶと読み損なってしまいます。実は私、1回目は気づかずに飛ばしてしまいました。紙書籍だったらあり得ないミスですが。

  
  
  
  
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