3年ぶりくらいに、東京藝術大学の「藝大オペラ」を観に行ってきました。
学生オペラはおトク!
以前にも書いたことがありますが、大学のオペラはお値段の割りに内容がきちんとしているのでとてもお得感があり、行けるときはなるべく行くようにしているのです。
毎年この時期は藝大と昭和音大が2日間重なるので、スケジュールが両方空いているときは両方行き、1日だけのときは、以前は昭和に行っていました(近いし、チケットが取りやすいから)。
でも、今年は藝大一択! というのは、前回の昭和の「コロナバージョン」がトラウマだからです。(今回はオケがきちんとオケピに入っていたようなので、大丈夫だったかも。)やっぱり、フェイスシールドや過剰なディスタンスは興ざめですよね。
というわけで、行ってきました東京藝術大学。
今回はチケット発売日の開始1時間後くらいにネットで取ったのですが、すでに1Fの中央より前の方はほぼ完売状態で、人気の高さが伺えました。やはり、良い席を取りたかったらできるだけ発売直後にアクセスすべきですね。まぁ、発売直後の場合は繋がるかどうかも運次第ですが…。
今回の演目は「コシ・ファン・トゥッテ」。学生オペラだと定番の演目です。
簡単なあらすじ
ナポリに住むフィオルリディージとドラベッラの姉妹は、それぞれ、若い士官グリエルモ・フェランドと婚約しています。
この婚約者2人は、それぞれに自分の婚約者がいかに素晴らしく貞淑であるかを自慢するのですが、それを聞いた老哲学者ドン・アルフォンソが、「貞淑な女なんていない」と言い張り、3人で姉妹の貞節について賭けをし、壮大なドッキリを仕掛けます。
婚約者2人は出征するふりをして船で出発し、それを嘆き悲しむ姉妹のところに、ドン・アルフォンソが新しい相手を紹介すると言ってアルバニア人に変装した2人を連れてきます。変装した2人はそれぞれ自分の婚約者では無い方を口説きはじめます。
最初、姉妹は全く相手にせず、男たちはご満悦でしたが、女中デスピーナもドン・アルフォンソに加担して「一人の男に縛られるなんてつまらない」と唆し、男たちは振られた失意から自殺するふりをしたりして動揺させ、最終的には姉妹を口説き落とし、その日のうちに結婚式までこぎつけます。
姉妹の心変わりに衝撃を受け、ヤケになる婚約者たちですが、結婚証書のサインの後にネタばらしをして「不実な」姉妹を責め立てます。そこでドン・アルフォンソが「女はみんなこうしたもの。受け入れて元通りの組み合わせで結婚しなさい」と言い、結局2組は元サヤに収まります。
感想など
キャストは院生、合唱は学部生(声楽専攻・オペラ実習履修生だそうです)、オケは藝大所属のプロオケ(メンバーは藝大講師)/藝大フィルハーモニア管弦楽団となっていました。
なお、珍しくテノールのフェランド役が1幕と2幕で交代するというダブルキャストでした。
今回はいわゆる大道具はほとんどありませんでしたが、衣装や髪(カツラ)、小道具関係等はヘタなプロ公演より高水準で、とても良かったです。合唱だけはマスク着用で気の毒でしたが、声はよく飛んでいました。
イスやテーブルなどを、黒子ではなく合唱の皆さんが運んできたりするのは、ミュージカル風の演出でしたね。
ソリストさんたちはまだ学生(院生)ということで、少々小粒な感じはしましたが、舞台全般としては良くまとまっていたので、楽しく鑑賞できました。
それにしても、コジってやっぱり酷い話ですよね。いくらなんでも婚約者が出征して、その日のうちに別の人と結婚とか、あり得ない。これが半年後ならあるかも?、と思わないでもないけど。
1日で心変わりしたら、そりゃあ不実って言われるわ。
そんでもって、「女はみんなそういうもの」とまとめられちゃうんだから、どうなんでしょう?
まぁこの「1日で」というのは、当時のオペラに「三一致の法則」という縛りがあって、一日で決着させる必要があったそうなので、ここを「半年」とか「3ヶ月」と読み替えると、多少荒唐無稽感が薄れる気がします。
三一致の法則とは
というもの。オペラに限らず、古典演劇の多くがこの法則に縛られていた
ストーリーに関しては、どうしても共感できない部分が多くて「オペラだから」で流してしまいますが、曲は名曲が多くて、聴いていて楽しいです。重唱がいっぱい聴けるし。
来年も来られたら良いんですが…。
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